「2階の部屋ではWi‑Fiがつながりにくい…」 「キッチンに行くと、インターネットが急に遅くなる…」 こんなふうに感じたことはありませんか?
それは、Wi‑Fiの電波が届いていないことが原因かもしれません。
そんなときに役立つのが、「中継器」と「メッシュWi‑Fi」という2つの機械です。 どちらもWi‑Fiの届きにくい場所をカバーしてくれますが、仕組みや使い方に違いがあります。
この記事では、中継器とメッシュWi‑Fiの違いや選び方を、やさしく解説します。
そもそも中継器やメッシュWi-Fiとは?

Wi‑Fiが届きにくい場所をカバーするための機械
中継器(ちゅうけいき)とメッシュWi‑Fiは、どちらも「Wi‑Fiの電波が届きにくい場所」をカバーして、つながりやすくする機械です。
家の中では、場所によってインターネットがつながりにくくなることがあります。たとえば、ルーターから遠い部屋や、壁が多い場所では、電波が弱くなりやすいです。
そういったときに中継器やメッシュWi‑Fiを使えば、電波が広がってつながりやすくなります。
「Wi‑Fiルーター(親機)」が必要
中継器やメッシュWi‑Fiは、Wi‑Fiルーター(親機)が出している電波を広げるための機械なので、まずは、親機がきちんとインターネットにつながっていることが大前提になります。

中継器やメッシュWi‑Fiは、あくまで親機をサポートする機械です
「通信速度を速くするための機械」ではない
中継器やメッシュWi‑Fiは、インターネットの速さ(通信速度)を上げるための機械ではありません。
あくまで電波が届きにくい場所でもWi‑Fiを使えるようにする「補助役」です。
もとの親機の電波が弱いと、それをただ広げるだけになるので、通信速度を速くしたい場合は親機そのものを見直す必要があります。
中継器とメッシュWi-Fiの違いは?

カバーの仕方が違う

中継器とメッシュWi‑Fiは、どちらもWi‑Fiが届きにくい場所をカバーするための機器ですが、カバーの仕方が違います。
- 中継器:親機ルーターから届く電波を子機のルーターがキャッチすることで「電波を延長して」カバーする

電波を広げたい場所が1か所程度なら、コスパのいい中継器がおすすめです
- メッシュWi‑Fi:親機ルーターと2台以上の子機ルーター(合計3台以上)が連携して、「電波を張り巡らせて」カバーする

メッシュWi-Fiなら、家族それぞれのスマホや複数の家電も同時に使っても、家中どこでも快適にネットがつながります
メッシュWi‑Fiの「メッシュ」って何?
「メッシュ」は英語で「網目」という意味です。
メッシュWi‑Fiは、その網目という名の通り、複数の機器(アクセスポイント)が網の目のようにつながり合い、家全体に電波を行き渡らせるWi-Fiです。
どこかの機器の通信が弱くなっても、他のルートを通じて自動的に接続が保たれるのが大きな特長です。
切り替えのスムーズさが違う

中継器を使うとWi‑Fiの電波が届く範囲は広がりますが、部屋を移動するときに、親機と中継器の間でWi‑Fiが切り替わるため、一時的に通信が途切れてしまったり、うまく切り替わらなかったすることがあります。
一方、メッシュWi‑Fiは複数の機器が連携して家全体をカバーしているため、移動中でも自動で最適な電波に切り替わり、通信が途切れにくくスムーズです。

家のあちこちでWi‑Fiを使いたいなら、メッシュWi‑Fiが便利です
項目 | 中継器 | メッシュWi‑Fi |
---|---|---|
電波の広がり | 届きにくい場所だけカバー | 家全体をカバー |
親機と子機の切り替え | 手動で切り替え | 自動で切り替え |
信頼性 | 直線的で脆弱(親機からの電波が途切れると通信できない) | 子機が2台以上の場合、どこかが切れても他で補える |
価格帯 | 約3,000円~10,000円 | 約15,000円~70,000円 |
子機1台のメッシュWi‑Fi構成は、中継器とほぼ変わりません

メッシュWi-Fiが親機を含めて2台だけの構成の場合、親機からつながる子機は1台なので、メッシュ(網目状)状態となりません。
この状態は、中継器とほぼ同じ構成であるため、使う場所によっては通信速度が遅くなったり、接続が切れやすくなったりすることがあります。
つまり2台構成のメッシュWi‑Fiでは、中継器と大差ないのです。

メッシュWi-Fiにするなら、親機を含めて3台以上の構成にしましょう
中継器とメッシュWi-Fi、それぞれのメリットデメリット

中継器のメリット

- 価格が安い
比較的安く買えるので、手軽に始められます。電気店やネットで簡単に購入できます。
- 設置がかんたん
コンセントに差し込み、簡単な設定で使い始められます。難しい工事などは不要です。
中継器のデメリット

- 場所によっては効果が出にくい
中継器は、親機の信号を中継するものなので、親機と中継器の間が離れすぎていたり、厚い壁などでさえぎられていると効果が出にくいです。
- 電波の切り替えがスムーズでない
たとえば、スマホがリビングの親機につながっている状態で中継器のある部屋に移動しても、自動で中継器に切り替わらないことがあり、手動で中継器に接続しなければならない場合があります。
メッシュWi-Fiのメリット

- 家中どこでもつながりやすい
親機を含めて3台以上のメッシュ構成にすることで、どこにいても安定してインターネットが使えます。
- 電波が自動的に切り替わる
部屋を移動しても、自動でいちばん良い電波に切り替わるため、快適に使えます。
メッシュWi-Fiのデメリット

- 機器の価格が高い
中継器よりも高価な場合が多く、セットで数万円することもあります。
- 置き場所にコツが必要
メッシュWi-Fiは、家の中に複数の子機を設置しますが、置き方が悪いと電波がうまく届かず、かえってWi-Fiが遅くなってしまうこともあります。
中継器とメッシュWi-Fiの選び方

中継器が向いている人
- Wi‑Fiの届きにくい場所が、一か所程度の人
電波を広げたい場所が一か所程度なら、中継器で十分です。
- 費用をあまりかけたくない人
中継器は数千円で買えるものが多くあります。
メッシュWi‑Fiが向いている人
- 戸建てや、3LDK以上の広い家の人
隅々まで電波を届けたいときにメッシュWi‑Fiは効果的です。
- 部屋を移動してもスムーズにWi‑Fiを使いたい人
自動で最適な電波に切り替わるので、ストレスなく使えます。
イージーメッシュ(EasyMesh)ってなに?
イージーメッシュ(EasyMesh)」とは、ちがうメーカーのメッシュWi‑Fiでも、一緒に使えるようにするための規格です。
これまでメッシュWi‑Fiは、同じメーカーの機器で揃える必要がありましたが、イージーメッシュに対応していれば、別々のメーカーでもつながる可能性があります。
ただし、まだ完全にうまくいくとはかぎりません。たとえば、「子機として使えない」「設定画面に出てこない」など、トラブルが起きることもあります。
そのため、今のところは同じメーカーのメッシュWi-Fiでそろえた方が安心です。
まとめ
Wi‑Fiが届きにくい部屋には、「中継器」や「メッシュWi‑Fi」を使うと効果的です。
中継器は、必要な場所だけ手軽に電波を広げたいときにおすすめです。一方、メッシュWi‑Fiは、家全体をしっかりカバーしたい場合に向いています。
ただし、メッシュWi‑Fiは子機が2台以上ないと十分な効果が出にくく、そのぶん費用も高くなります。家全体をカバーしたいのか、それとも中継器で十分なのか、ご自分の使い方に合わせて選ぶことが大切です。